日本人の緑内障の多くを占める開放隅角緑内障に対して、マイクロフックを用いた流出路再建術を行っています。角膜に小さな切開を2か所加えて、そこからマイクロフックを挿入し、眼房水の流出路である線維柱帯を約240度(3分の2周)切開します。術後の合併症が比較的少なく、眼圧下降効果も従来の流出路再建術に劣りません。
緑内障の分類
緑内障は、大きく開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障に分けることができます。
また、その他のものとしては、続発緑内障や発達緑内障等、特殊なものもあります。
日本眼科学会ホームページで、分かりやすく記載されていますので、参照していただければ幸いです。
緑内障検査
緑内障の検査としては、眼圧検査・隅角検査・眼底検査・OCT(光干渉断層計)・視野検査等が必要です。
これら検査の詳細についても、日本眼科学会ホームページを参照していただければ分かりやすいと思います。
薬物治療
隅角が狭くない開放隅角緑内障に対しては、まず1~3種類の点眼治療を試みます。点眼薬による効果が見られ ない場合には、レーザー手術(SLT:選択的レーザー線維柱帯形成術)を行うか、緑内障手術を受けて頂くことになります。
レーザー治療
- 選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT;Selective Laser Trabeculoplasty)
開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障、偽落屑緑内障等に対して、点眼薬での治 療効果が十分得られない場合や、何らかの理由で点眼薬が使用できない場合に、追加治療の選択肢の一つとして取り入れています。
レーザー治療のため、日帰りで行えます。また、治療後に見え方が悪くなることもほとんどありません。
- レーザー虹彩切開術(LI;Laser Iridotomy)
原発閉塞隅角緑内障、原発閉塞隅角症に対して行う治療です。虹彩根部にYAGレーザーで穴を開け、房水の流れ道を確保します。レーザー治療のため日帰りで行い、また、治療後に見え方が悪くなることもほとんどありません。
日帰り緑内障手術
閉塞隅角緑内障に対しては、年齢や緑内障の進行状況により、周辺虹彩切除術・隅角癒着解離術・水晶体再建術や、それらを組み合わせたものを行うことがあります。
- 極低侵襲緑内障手術(Minimally invasive glaucoma surgery:MIGS)
点眼治療やレーザー治療(SLT)では十分な眼圧下降が得られない、開放隅角緑内障に対して行う手術です。
角膜に作った小さな切開創から器具を挿入して、眼内から線維柱帯を切開する「流出路再建術」を日帰りで行います。最近はマイクロフックを用いた流出路再建術を行っています。
- 水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術(New!)
初期の開放隅角緑内障に対して点眼加療を行っている方で、白内障が併発したため手術が必要になった場合に行うことができる手術です。
白内障手術で作成した角膜に作った小さな切開創から器具を挿入して、線維柱帯にステンレス製の小さなステントを差し込みます。ここから房水がシュレム管へと流出し、眼圧低下をもたらします。
- ろ過手術、緑内障手術用インプラント挿入術(プレートの無いもの)
「流出路再建術」で十分な眼圧下降が得られない場合や、目標眼圧を低く設定しなければならない進行した緑内障の場合に行うことがあります。